なれない人

何をやっても風格の出ない人の旅行記・エッセイ

合法ハーブ屋さん③

それから数週間後、街に用事で行った時にあのバーがあった場所に行ってみた。

確かこの辺り、という場所を歩いても看板がない。それからというもの、そのバーに

もう一度訪れることは出来なかった。

 

ネットで見てると当時は何件も似たようなお店が堂々と営業していた。

近くのお店に行ってみると、椅子と机が置いてあって、お客さんが一人カタログを眺めていた。店員さんにオススメを聞くと「分かんないっすね」と言われた。

前のバーとは違いなかなか殺伐とした雰囲気だ。

 

家に帰って新しく買ったやつを試してみたけど、ちょっと体が重くなっただけだった。

 

なんだこれは。それから色々ネットで調べていくと、合法ハーブというのは、ハーブとは名ばかりでその辺の雑草に化学物質をスプレーで吹きかけたもので、その化学物質は謎で、数ヶ月おきにコロコロ変わるのだという事。僕は無知で、ハーブに自然にそういう作用が有るのだと思っていたけど、実はめちゃくちゃ体に悪そうなヤバイ謎の物を吸っていたのだった。

 

それを知るともう辞めておこうと思った。

特に依存などもなくすぐに吸わなくなった。

 

それから半年か1年ほど経った頃だろうか、ニュースでは徐々に合法ハーブの事件が

扱われるようになってきて、脱法ハーブ、危険ドラグと名前も変わっていった。昔は新しいのが出ると、作った人や売る人が使って確認してから出していたらしいけど、だんだん適当になってきて、適当に作った完全謎のものが出回るようになって死ぬ人まで出てきたらしい。

 

いや、早い段階で辞めておいて本当に良かったと思うとともに、2度とワケのわからない化学薬品を摂取するまいと思った。